2012年度の「ニュース」

 

 

 

 

 

 

2012/12/25 シンガポール会社法検討委員会報告第4章提案の適用

 

いわゆる会計監査が免除される小規模法人をEPCs(Exempt Private Companies)といいますが、小規模法人のコンプライアンスコスト削減に資する制度が別途整備されていることはあまり知られていません。

シンガポール会社法検討委員会(Steering Committee for review of the Companies Act)はその報告書第4章で、「小規模法人(Small Company)の定義」の導入と、「小規模法人の財務諸表監査免除制度」の導入等を提案しており、この第4章提案のほとんどがシンガポール財務省(Ministory of Finance: MOF)によって承認を受けています。

 

この”小規模法人の監査免除”要件は、EPCの免除要件よりも大幅に拡大されているため、EPCでは適用外と判断される場合であっても、この第4章提案による適用が受けられる場合が考えられます。

 

提案第4-1: 小規模法人の定義と監査免除要件

1) 非公開会社であること

2) 次のうち2つの区分を満たすこと

  • 年間総売上高が10M以下であるとこ
  • 総資産額が10M以下であること
  • 従業員数が50人以下であること

 

実際の適用には企業グループベースでの判定が必要となります。

 

 

 

 

 

2012/12/12 M&A スキームによる所得税と印紙税の節税

 

2010年度予算で導入された吸収・合併引当金(M&A Allowance)は、2015年の3月31日の適用期限までに行われた一定のM&Aについて、買収法人に対し、その買収価格の5%(最大S$5M、約3.5億円)の所得控除を認める内容となっています。但し、計上された引当金は、5年間の定額法にて戻入処理が必要となります。

同様の優遇措置が印紙税(Stamp Duty)についても設けられており、最大S$200Kの印紙税軽減が認められます。

この制度の目的は、「外部企業」を吸収・合併することにより事業拡大を狙うシンガポール法人に対し、引当金の計上による課税の繰り延べ等の税務ベネフィットを与えることで、その資金負担を支援することにあります。よって、「企業グループ内」で行われるリストラクチャリングの一環としてのM&Aには原則として適用がありません。

 

実際の適用の際には、慎重な判断が必要となります。

 

 

 

 

 

2012/12/10 マレーシアの統括会社優遇税制(Operational Head Quarter)

 

シンガポール同様、自国をアジアの経済ハブとすることを目標としているマレーシアでは、経営統括本部に対する税制上の優遇措置を設けています。

一定の「経営統括本部(OHQ)」と認められた法人は、最長10年間の法人税の全額免除を受け、さらに従業員には滞在日数に応じた課税という優遇課税があたえられます。同様の制度はシンガポール及び隣国タイでも見受けられますが、享受できるベネフィットと実務上の適用の容易さを比較すると、マレーシアの制度に軍配が上がります。

また、OHQ他、調達センターや流通センター、財務上のマネジメントセンターを設置する場合にも、5年から10年間の免税措置を設けています。

「イスカンダル計画」等で注目を受けるマレーシアですが、多国間の商流を再検討することで、税務コストの削減につながるかもしれません。

 

 

 

 

 

2012/12/05 登録前GSTの控除 (New!)

 

GSTの申告上、支払消費税の控除ができるのは、課税事業者として登録していることが前提となります。したがって、GSTの登録事業者となる前に発生した消費税については、支払GSTとして控除することができないというのが原則的な取扱いです。

しかしながら政策的見地から、2012年12月1日以後にGSTの登録事業者となる者が一定の条件を満たす場合には、上記原則的な取扱いによらず、GST登録事業者となる前に負担した消費税の控除を認める特例措置(GST Regulation 40)がアナウンスされました。

 

詳しくはお問い合わせください。

 

 

 

 

 

2012/11/29 ケース・バイ・ケース適用申請 PIC Scheme


支出額に対して400%の所得控除が認められるPICスキームですが、「適用対象」としてリストされたもの以外にも、納税者の申請ベースにより適用が認められるケースがあると発表されました。


申請が認められるか否かのポイントとしては、

  • ビジネスの主要な作業の自動化に寄与するものか
  • 労働時間の短縮や生産性の向上に寄与するものか
  • 一般的に使用される「道具」ではないこと(「道具」である場合には、先進的な技術が導入されているか、又は、過去に存在しない画期的な機能を有していることが必要)

となります。

飲食業のケースとして、従来人が作業していた大量の食器や調理器具の洗浄について、機械を導入してコンピューター制御による高熱洗浄することで、人力では不可能だった作業時間の短縮を達成したケース等が例示されています。

 

まずは積極的に申請の可能性を検討してみる姿勢が重要と思われます。

 

 

 

 

2012/11/26 EU・シンガポール自由貿易協定のメリット

 

締結間近といわれるEUとシンガポールのFTAですが、日系企業にとっても大きなメリットが見込めるようです。

日系企業の多くがASEAN諸国に拠点を置いているため、日本・シンガポールFTAやAFTAを介する欧州市場への参入が容易になると考えられます。また、原産地規則の判定において、付加価値基準と関税番号変更基準との選択適用が認められる模様であることも、同FTAの利便性の高さを示しています。

 

 

 

 

 

2012/11/25 知的財産権の登録費用に関する所得控除の特例

 

知的財産の登録や保護を奨励し、企業の技術革新活動を促進させるための特例措置が設けられています(Income Tax Act: Section 14A).

対象となるのは、特許権(patents)、商標権(trademarks)、意匠権(designs)や工業所有権等(Plant Varieties)で、それぞれ2015年まで特例の適用が認められています。

現在、PICスキームの一環として、一定の登録費用や専門家へのサービスフィーについては400%の所得控除が可能であるため、大きなタックスベネフィットが見込める制度になっています。当該特例の申請には、FORM-Cに以下の事項を明らかにする資料の添付が必要となります。

  • 知的財産の概要
  • 知的財産の登録国
  • 登録費用の詳細
  • 知的財産が法的に申請法人に帰属することの証明
  • 知的財産から生じる利益が申請法人に帰属することの証明

 

 

 

 

2012/11/21 自主的期限後申告、修正申告のキャンペーン

 

世界的な景気低迷により短・中期的な経済成長が望めない中、IRASは財政収入の安定的確保のため課税の強化を進めています。

中でも、中小零細規模のオーナー企業や個人事業者など、コンプライアンス体制が十分でない事業体に注目し、課税漏れとなっている所得を捕捉するため、過年度の申告漏れについて自主的修正申告(期限後申告を含む)をした場合にはペナルティーに斟酌を与えるとして、納税者の自主的な修正申告手続を行いやすくするためのキャンペーンをしています。

 

これに対し税務調査による指摘された場合には、200%以上の加算税や$1,000の罰金に加え、刑事罰を課すため法廷へ召喚するとしており、実地税務調査も積極的に行われていることから、納税者としては税務リスクの総点検をする必要があると思われます。

 

 

 

 

2012/11/16 専門的知識・技術の提供を行う非居住者(個人)に対する源泉所得税

 

「企業の従業員以外の個人で、専門的知識・技術の提供を行う個人事業者の内、シンガポール国内の滞在日数が暦年基準で183日未満の者(以下、外国人専門家)」に対して一定の支払をする場合には、支払者に、以下の所得税の源泉徴収義務が課せられます。

 

  • 総支払金額に対して15%、または
  • 当該外国人専門家の選択により純利益に対して20%

 

源泉徴収義務が生じるサービスの種類は、

  • シンガポール政府機関や研究機関、又は民間機関から招聘された外国人専門家で、その技術的ノウハウや専門知識のシンガポールへの導入
  • 外国人のスピーカー又は学術研究家でシンガポールでのセミナーやワークショップの提供
  • 英国王室の顧問弁護士
  • コンサルタント、トレイナー、コーチ
  • 外国企業体を通じて上記のサービスを提供する者

となっており、また、2012年7月1日以降の支払い分から源泉徴収税額の納付期限が翌々月の15日に変更されています。

 

 

 

 

2012/11/12 リース車両の私的利用に係る経済的利益

 

シンガポールの法人所得税の計算において、一般車両の減価償却費相当額の損金算入(キャピタルアローワンス)は原則として認められません。

その一方、法人が使用する車両を従業員個人が私的に利用した場合には、その利用によって生ずる経済的利益をいわゆる現物給与(Benefits-in-kind)とみなして、個人所得税上の課税が行われます。たとえば、法人がリース契約によって使用している車両を、従業員が通勤のために利用した場合には、以下の算式により計算された金額を、従業員個人の所得として加算する必要があります。

 

3/7 x レンタルコスト + ($0.1km x 私的利用距離)

注:ガソリン代を会社が負担するケース

 

当局による「現物給与の課税強化」が散見されることから、申告漏れリスクを再確認しておきたいところです。

 

 

 

 

2012/11/08 地域駐在員の特例

 

 

シンガポール非居住者である外国法人に雇用される駐在員で、その活動が多国間にわたる者(Area Representative)については、一定の条件を満たすことにより、その給与所得に係る個人所得税の計算上、シンガポール滞在日数に応じた優遇措置を受けることができます。

 

適用条件は、以下のすべてです。

  • 外国法人等の非居住者によって雇用されている者であること
  • 地理的条件のためシンガポールに居住していること
  • 職務遂行のため、シンガポール国外で活動する必要があること
  • 報酬・給与はシンガポール非居住者である外国法人によって支払われ、シンガポール国内にある恒久的施設にいかなる負担(直接的にも間接的にも)も課せられていないこと

適用申請に際しては、必要となる添付書類がありますのでお問い合わせください。

 

 

 

 

2012/11/06 シンガポール・ポーランド租税条約の基本合意

 

11月4日付で、シンガポールとポーランド間の租税条約締結に向けた基本合意がアナウンスされています。

利息、配当及びロイヤリティといった投資所得に係る源泉税の減免規定(第10、11、12条)や、従来の租税条約と比較しより自由度の高い恒久的施設の取扱い規定(第5条)が盛り込まれています。

OECD加盟国最高水準の経済成長率、高学歴・低賃金の若い労働力、19%の法人税率、地理的優位性等の好条件が揃うとして日系企業進出が加速するポーランドですが、シンガポール経由の商流とすることで、より効果的な経営が可能になると思われます。

 

 

 

 

2012/11/02 FORM C-S

 

改めて、簡易的な法人所得税の申告形式であるFORM C-Sのご案内です。

YA2012年度より、一定要件を満たす法人については、従来のForm C形式ではなく、申告内容や添付書類等が簡易化されたForm C-S様式での申告が認められます。

適格要件は、

1. シンガポール法人であること(外国法人の支店は適用外)

2. 年間売上高が$1M以下

3. 適用税率が17%の所得のみ(軽減税率適用法人は適用外)

とシンプルですが、留意点として、

  • 現行年度に生じたキャピタルアローワンス又は欠損金の繰戻還付
  • グループ法人税制
  • インベストメント・アローワンス
  • R&Dアローワンス
  • 外国税額控除

の適用ができないことが挙げられます。

 

申告が効率的で誤りが少なくなるようデザインされおり、電子申告を利用すれば申告苦期限の延長(12月15日まで)も与えられます。

 

 

 

 

自主的修正申告の奨励:Voluntary Disclosure Program (VDP)

IRASは納税者の意図的でない過失・失念にもとづいた申告内容の誤りに対しては、自主的にその修正申告を行うことその他を条件として、本来課されるべきペナルティー減免措置を講じています。

 

VDPの適格要件は、適時に、正確に、完全にそして納税者自らが行う修正申告に対し適用され、かつ、以下の要件を満たす必要があります。
1) 修正内容に関して、IRASに対して全面的に協力すること
2) 追徴税額や発生するペナルティーについて異議のないこと
3) すでにIRASによって実施された税務調査等に係る修正申告ではないこと
また、iRASは定期的にそのウェブサイト等を通じて自主的な修正申告を呼びかけており、それらの一定期間内に行われる自主的修正申告はVDPの対象となる可能性があります。

適用対象となる税目は所得税(源泉所得税含む)及びGSTとなります。

 

 

 


2012/10/27 GST虚偽還付申告者収監される

 
10月22日に続きGSTの虚偽還付申告のニュースです。今回発表されたのは、Lau Giang Boon Eric という自営業者で、罰金127,170ドル及び8週間の懲役刑が判決されました。

 

シンガポールでGSTの不正還付請求をした場合、最悪、本税に対する300%の罰金と7年以下の懲役刑が併課されることは前々回ご案内したとおりですが、IRASのホームページ上で告発されることの影響も大きく、ビジネスの継続が限りなく困難となります。

 

日本では、「見解の相違」として当局の考え方に対する自社の意見を公にすることが多いですが、こちらでは量刑判断に影響を与える可能性があるため、そのようなコメントを発表する納税者はまず見られません。

 

 

 


2012/10/24 シンガポール・イタリア租税条約改正


シンガポールとイタリアの間で結ばれている租税条約につき、追加条項が設られ、今月19日をもって施行となっています。追加条項の主な内容は、情報交換規定の設定であり、両国間で税務行政上必要となる納税者情報が相互に引き渡されることとなります。納税者は、拡大された税務当局の権限の範囲に対応できるよう、適用対象となりうる情報の整備と定期的なモニタリングによる評価手続きが必要になるものと思われます。

 

 

 

 

2012/10/22 初のGST虚偽申告更正処分

 

10月19日のIRASの発表によると、GSTの不正還付を受けようとして虚偽申告を行ったことによる初めての更正処分が、ある卸売り業者: (Seow Ming Liang、以下「Seow])に対して下された模様です。Seowは、自身をGSTの自主申告者として登録し、支払消費税の過大計上よる虚偽の還付請求を行ったとして、罰金$298,011.84(約1,937万円)と6週間の禁固刑が併課されました。

 

シンガポール税法において、架空の課税取引による支払い消費税の計上は犯罪行為であり、最大本税の3倍のペナルティー及び7年以下の懲役刑のいずれか又はその併課がされるものと規定されており、今回のSeowのケースはその処理の悪質性から「脱税」とみなされ、罰金刑の最高レートである300%ペナルティが言い渡されています。

 

IRASは「脱税(tax evasion)」と「誤り(mistake)」を区別し、「誤」って過小申告又は過大還付請求をした事業者にはペナルティに斟酌を与えるとしています。

 

 

 

 

 

2012/10/16 現物給与の範囲と計算方法の選択

 

個人の給与所得を計算する際に注意しなければならないものとして、現物給与があります。

政策的な配慮から非課税とされるものを除き、原則個人所得税課税を受けることから、給与計算においてもれなく把握する必要があります。 また、法人が負担する居住費用の課税所得計算にみられるように、借上げ社宅方式か住宅手当方式かの選択によって、納付税額に大きく差が出てしまうケースもあります。

シンガポールの実務では、課税とされる現物給与の範囲が日本よりも広く、かつ計算方法も異なりますのでご注意ください。

 

 

 

 

2012/10/11 COR: 居住者証明書

 

Certificate of Residence(COR)は、いわゆる「居住者証明書」を指します。

租税条約上の2重課税回避条項の適用のため、IRASが「税務上の居住者」としての納税者の地位を証明する書類です。

「実質的な管理・支配の場所」がシンガポール国内にある法人は税務上シンガポールの居住者とされ、税務上の居住者の特典として、シンガポールが締結する各国との租税条約上の利益を享受することができます。

 

 

 

 

 

2012/10/09 見積課税所得申告免除の要件

 

9月10日の「ニュース」としてご案内しました見積課税所得(EIC)の申告免除制度について、昨日10月8日付で免除を受けるための適用要件が発表されています。

  • 年間収益がS$1M以下であること(配当所得、利子所得、キャピタルゲインを含まない)。
  • EIC がゼロ(Nil)であること。但し、新規設立法人の所得免除制度適用法人である場合には、同制度の適用前の金額で判断する。
  • 2012年10月1日以降に終了する会計期間に係る賦課年度(YA)から適用可能。

 

上記の適用要件を満たせば、通常決算日後3ケ月以内に提出が義務付られてきたECI申告が免除され、事務負担・コストの削減が可能となります。

但し、適用要件の判断は慎重に行い、判断ミスから「見込所得による課税処分」を受けることがないように配慮することが必要です。

 

 

 

 

2012/10/05 不動産投資信託の課税関係

 

IRASは10月1日付けで、不動産投資信託(REIT)に対する課税関係のガイダンスを発表しています。リーマンショックによる金融危機に対応するため導入されたTax Transparency Treatemnt (TTT)により、REITの受託者は一定の所得について課税を免除されてきましたが、今ガイドではさらに、受託者の免税条件の明確化に加え、投資家の得た所得に対する課税要件や「適格」非居住者に掛かる源泉所得税率、及びそれらの税務行政手続きが明確にされています。税制の透明性と予見可能性を高めて投資活動の促進させようとする狙いが伺えます。

 

 

 

 

2012/9/28 期限内申告率の向上

 

本日のIRASの発表によると、所得税と消費税(GST)の期限内申告率が向上し、期限後又は未申告率は過去最低の1%以下となった模様です。

2012年度の年次報告の中で、IRASは納税者の自己申告をいかに奨励したのかを紹介しており、申告プロセスの簡素化と事業者の税務リスクマネジメントの手助けとなる施策の導入を今回の成果の要因として挙げています。

税金の効率的な徴収者としての行政事務を超えて、税務に関するシステム全体を競争力のあるまた海外投資家にも受け入れやすいものにしようと納税者と広く議論する努力を続けるIRASの態度は、日本の当局も見習うべきところが多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

2012/9/26 見積課税所得の電子申告のメリット

 

シンガポールの法人所得税の手続き上、原則として毎決算日後3ヶ月以内に見積課税所得の申告が必要です。この見積課税所得の申告には当局からインセンティブが設けられていて、「電子申告」するか「ペーパー申告」するか、及び申告する「タイミング」によって分割納付できる回数に違いが出てきます。要は、「できるだけ早く電子申告」するとメリットが最大になるようにプランされています。日本には無い制度ですが、申告手続きの早期化により行政側では手続負担の平準化が図れ、また納税者側でも資金負担の軽減になりますので有効なものだと思われます。

 

 

 

 

2012/9/20 iSPRINT: 生産性向上のための助成金

 

シンガポールの情報開発局(Infocomm Development Authority of Singapore: IDA、以下「IDA」は、助成金制度を利用して中小企業の生産性向上のための努力を後押ししています。そもそもIDAの設立目的がシンガポールを情報産業のハブとすることで経済社会の発展を狙ったものであることから、助成の対象も情報ソリューションに関する支出に限定されています。たとえば、法人設立に伴い会計関連ソフトウェアを購入したり使用料を支払う場合などには、その支出額の総額に対して70%(限度額S$1,500)の現金給付が受けられることになります。

助成金の適用には、事前申請による審査が必要です。また助成対象コストのリストも公表されていますが、助成金の適用には一定の要件を満たす必要があることから、詳細はお問い合わせください。(2012/9/27 加筆及び修正

 

 

 

 

2012/9/12 国際空輸・海運用コンテナーのGST

 

GSTの取り扱いとして、国際サービスに該当する場合には、提供する役務に対するGSTの税率がZero(0%)とされます(Section 21(3)。先日9月10日付けで、このZero(0)%税率が適用される国際取引の範囲に次のものが加わりました。

  • 国際貿易上の空輸・海運用のコンテナーの販売及びリース取引 (Section21-3v)
  • 国際貿易上のコンテナーの修理・維持、又は管理上の一定のサービス取引

改定された関係ガイドラインも発表されていますので、詳細情報が必要な場合にはお問い合わせください。

 

 

 

 

 

2012/9/10 見積課税所得の申告免除

 

シンガポールの法人所得税の手続きとして、決算後3ヶ月以内の見積課税所得の申告(Estimated Chargeable Income: ECI)が必要です。但しこのECIの申告要件に最近変更があり、以下の条件を満たす法人については、YA2013 (但し2012年10月1*以後終了する会計年度に限る)よりECIの申告が不要とされるようです。*10月9日修正を加えました。

  • 年間の売上高がS$1million以下
  • 見積課税所得がゼロ又はマイナス(NIL)

詳しい内容については今後アナウンスされる予定ですが、該当する法人にとってはコンプライアンスコストの削減につながるものですので注意する必要があります。

 

 

 

 

 

2012/9/05 税制の展開に見る政治基盤安定の重要性

 

8月15日付けのニュースでもご案内していますが、少額減価償却資産の即時償却の特例の拡大がアナウンスされ、YA2013(2012年会計年度)より1単位5,000ドル以下のものが即時償却可能となっています(Section 19A)。この即時償却の特例は、通常のキャピタルアローワンスの適用といずれかを選択することができ、法人の決算内容に応じて判断する余地があります。例えば、繰越欠損金を有する法人などは、あえて損金計上額が大きい即時償却を選ばずに、キャピタルアローワンスの計上で繰越欠損金の縮小を図ったりといったことが可能で、欧州債務危機不況の影響を受ける事業体をサポートするものとなっています。

 

政治的基盤が安定しているシンガポールでは、税制の戦略的展開が適時に実施され、経済動向を反映した有効な施策が次々と出てきます。一方、更なる政権交代がうわさされる日本をみると、税制や財政再建の議論が遅々として進まず、刻一刻と「国力」を落としているように感じてしまいます。

 

 

 

 

2012/9/04 認定貴金属精製業者・収集業者に対するGST特例の新設:ARCS

 

IRASは昨日9月3日付けで、貴金属の精製業者や貴金属の原材料の収集業者に対して、GSTの免除等の特例を与えるスキーム(Approved Refiner and Consolidator Scheme : ARCS)を発表しています。ガイダンスも示されており(Guide on GST Exemption of investment Precious Metals: IPM)、特例の概要は以下のようになっています。

  • 自己が輸入する物品に係る輸入消費税の免税
  • 認定業者に対する物品の売り上げに係る受取消費税の回収の免除
  • 支払消費税の全額控除(一部適用除外事項あり)

詳細を確認次第、さらにご案内いたします。

 

 

 

 

2012/9/03 イタリアとの租税条約発効等

 

8月30日付けで、シンガポールとイタリア間の二重課税排除のための条約に関する議定書 (Agreement for the avoidance of double taxation: DTA)が発効されました。当議定書には国際的に合意されている「情報交換規定」も盛り込まれています。

また、来月29日には対バーレーンとのDTAの発効も予定されており、租税条約網の一層の整備が図られています。

 

 

 

 

2012/8/29 流通業者のためのGSTガイド

 

2012年8月28日にIRASより流通業者のためのGST(Goods and Services tax)のガイドラインが発表されました。このガイドラインの目的は、

  • 流通業界に適用されるGSTの原則を示し、
  • 流通業者によって提供される一般的なサービスに関するGSTの取り扱いを明らかにする

ことにあり、サービス提供地毎に適用される税率等が具体例とともに示されています。

標準税率と0%税率の適用区分などが詳細にわかるため、流通業関連の法人の方には必須の情報です。

 

 

 

 

2012/8/20 新規設立法人に対する免税措置

 

弊社ガイダンスの中でも記載していますが、新設法人に対して設立後3年間認められる免税措置について、改めてご紹介しておきたいと思います。

概要は、課税所得のうち、最初のS$100,000は免税、次のS$200,000までは50%非課税となる法人所得税の減免措置で、例えば、該当年度の課税所得が300,000ドル(約1950万円)あったとしても、課税所得として認識されるのは100,000ドル、税額は17000ドル(100,000 x 17%)となり、実効税率は実に5.67% (17,000ドル / 300,000ドル)となるものです。

適用要件はシンプルで、シンガポールで設立された法人であること、株主は20人以下の個人で構成されていること、少なくとも1人の株主は10%以上の株式を保有していること、になります。

 

 

 

 

2012/8/17 PIC Second Editionのアナウンス

 

2011年度予算で強化・拡大されたPICスキーム(Productibity and Innovation Credit Scheme)について、本日付けで”Second Edition"として、更なる減税措置の手当てが明らかになりました。

主な改正点は、1) キャッシュ・コンバージョン(適格支出に対する現金給付)がYA2015まで延長されたこと(改正前はYA2013まで)、2) コンバージョンレートが2013年以降は60%になること、3) 四半期ベースでコンバージョンによる現金給付の申請をすることができる(改正前は年次ベース)などです。

利用価値の非常に高い減税措置ですので、十分に活用したいところです。

 

 

 

 

2012/8/16 知的財産の取得に対する引当金

 

シンガポールを知的財産取引の"ハブ"とすることを狙いとして、特許権等の取得にかかる資本的支出に対し、5年間で均等償却可能な引当金の計上が認められています。

また、従来は知手財産の利用の停止等の場合には引当金残高の課税所得への算入が必要とされていましたが、YA2011年より一定の場合には課税所得への算入が免除されることとなり、よりいっそう魅力的になりました。

さらに、2011年度予算により導入されたPICスキーム(Productibity and Innovation Credit Scheme)の併用により、非常に大きな節税効果が期待できる制度となっていますので、知的財産を活用される納税者の方は是非ご検討ください。

 

 

 

 

2012/8/15 少額資産の即時償却の拡大

 

シンガポール2012年度予算において発表された内容によると、法人所得の計算上、小額資産の即時償却に掛かる基準額として従来適用されていたS$1,000(約6万5千円)が大幅に拡大されて、S$5,000(約32万5千円)となります。

年間限度額であるs$30,000には変更が無い模様ですが、一単位当たりの基準額が拡大されたことで、より使い勝手のよい制度となりそうです。

適用はYA2013以降の会計年度となります。

 

 

 

 

 

2012/8/14 スイス、カナダとの租税条約等の改定

 

今月31日、シンガポールはスイスとの租税条約及びカナダとの議定書の内、一部の条項についての改定条項を発効させます。

改定された内容には、外国法人等の経済活動に対する両国間の情報交換規定が盛り込まれ、OECDモデル租税条約に沿った形での規定の運用が期待されています。

企業活動の多国籍化・分業化が進展する中で、課税ベースの把握のための情報システム網の構築が不可欠となっています。

 

 

 

 

 

2012/8/07 脱税に対するペナルティ

 

IRASの脱税に対する姿勢は厳正を極めます。

先日8月3日付けで、2008年から2009年に掛かる2年間の法人所得の申告漏れがあったとして、アルミニウムパネルの組立・設置会社に対して、その脱税額の3倍に相当するペナルティを課すとともに、IRASのHP上にて実名で課税処分の詳細(法人名や脱税行為、その首謀者名)を発表しています。日本における脱税に対する課税処分と比較する場合、その厳しさは際立っています。

低い税率や課税ベースの免除で企業を優遇してくれるシンガポールですが、ルールを破った場合報いは軽くないということを、あらためて認識する出来事でした。

 

 

 

 

 

2012/6/18 居住用不動産に対する追加的印紙税の導入

 

IARSは去る6月11日、居住用不動産価格の高騰を抑制するため、従来の制度に対して重課となる印紙税(Additional Buyer's Stamp Duty: ABSD)の導入を発表しました。従来は、居住用不動産の購入価格について、最初の180,000ドル、次の180,000ドル、360,000ドル超の部分に対してそれぞれ、1%、2%、3%の印紙税が課されていました。新税導入後は、従来の印紙税にプラスして、外国人の場合は購入価格全体の10%、シンガポール国民等であっても同3%を追加で負担する必要があります。不動産の購入者には非常に大きな負担となりますが、国土面積が東京23区ほどのしかないシンガポールにとり、居住スペースの投機的値上がりを押さえ込むためには必要な処置のようです。

 

 

 

 

 

2012/6/1 親の扶養控除のシェアリング

 

IRASは納税者からの要望を受けて、個人所得税上の控除項目のひとつである「親に対する扶養控除(Parent Relief)」の変更を検討しています。現行の制度上は、親を扶養する子が2人以上いる場合であってもいずれか1人の納税者の申告上でのみ扶養控除の適用ができるとされ、複数の子で親を扶養する場合に、扶養控除適用の子供と不適用の子供との間で税負担に不公平が生じています。この問題に対しより柔軟な適用を求める声が多いため、複数の納税者間の申告において扶養控除額をシェアすることができるような制度改正が現在検討されています。

改正が施行され次第、詳細をご案内する予定です。

 

 

 

 

> 2012/5/29 シンガポール・ポルトガル租税条約、情報交換規定の導入

 

シンガポールは、昨日2012年5月28日付けで、ポルトガルとの租税条約中に租税に関する情報交換規定(シンガポール・ポルトガル租税条約第27条)を導入することに合意し、外交文書に調印しました。

これにより、他方の当局からの要請がある場合には、要請を受けた側の当局は、同国国内の銀行などの金融機関により保有される口座情報の提供が義務付けられます。今後両国会での必要な手続きを経た後、発効となる予定です。

 

 

 

 

 

> 2012/5/23 タイの法人税率引き下げ

 

昨年10月、タイは2012年度以降の法人税率について段階的な引き下げを行うことを発表し、2012年1月1日以降に開始する事業年度の法人税率は23%となり、さらに2013年1月1日以降開始事業年度は20%となります。2011年度まで30%であったものがわずか2年間で一気に10%も引き下げられ、アジアの主要国の中で、香港の16.5%、シンガポールの17%に次ぐ低い水準となります。

中国と同様経済成長に比例して上昇した労働者賃金や洪水被害により、その競争力の相対的低下が指摘されているタイですが、より一層の発展を目指すタイ政府の、外資誘導に対する強い意志が感じられます。

 

 

 

 

 

> 2012/5/10 中小企業への助成金制度:SME Cash Grant

 

シンガポール共和国2012年度予算で発表されたように、一定の要件に該当する中小企業は助成金が受け取れることとなりました。この助成金制度は、EU債務危機等の要因により停滞する経済状況を考慮して、シンガポールの中小法人の経営を支援することを目的としています。

助成金の金額は売上総額の5%相当で、かつ、S$5,000(約325,000円)が上限とされ、助成金を受けたい法人はYA2012年の申告上で申請する必要があります。

 

 

 

 

> 2012/5/07 世界銀行の「ビジネスフレンドリーランキング」

 

世界銀行が毎年公表している「ビジネスフレンドリーランキング:Rankings on the ease of doing business」の2012年版で、シンガポールは2011年に引き続き第一位にランクされています。評価上の要素は多岐にわたり、企業経営上の規制、法制度の整備状況、財産・投資家保護制度の運用態度の透明性や外部環境の変化に迅速に対応した制度改正の内容などが考慮されるようです。

昨年と比較するとトップ5の顔ぶれには変化がなく、シンガポール、香港、ニュージーランド、アメリカ、デンマークの順になっています。日本はというと、こちらも昨年同様20位をキープできましたが、昨年23位だったマレーシアが18位となり抜かれてしまいました。さらに21位のラトビア、22位のマケドニアは、外資誘導政策に積極的に取り組んでおり、2013年度のランキングで日本の上を行くことが予想されます。

 

 

 

 

> 2012/4/26 拡大を続けるシンガポールFTA網

 

シンガポールが現在締結するFTA相手国は、貿易量の多い順に、米国、中国、日本、韓国、インド、豪州、パナマ、ESFTA(スイス、リヒテンシュタイン他)、チリ、ペルー、ヨルダンとなっています。また署名済みのFTA相手国としては、GCC(湾岸経済協力会議)とコスタリカがあります。これらの国々との取引がシンガポールの総貿易量に占める割合は実に70%以上にのぼり、シンガポールの国際取引がFTAのベネフィットを十分に活用していることが分かります。

さらに現在注目を集めているEUとのFTA個別交渉がまとまれば、EUマーケットでのシンガポール製品の競争力がより一層強化され、またEUからシンガポールへの投資機会もさらに促進されることとなるでしょう。

 

 

 

 

> 2012/4/13 医療ツーリズムと医療マーケット

 

医療ツーリズムを産業振興の柱とする動きが世界中で見られます。

UAE(アラブ首長国連邦)のひとつであるドバイでは、ヘルスケアシティーと呼ばれる特別区を設定して、その特別区内で経営される医療関係施設に係る納税義務を50年間(2002年から2052年までの間)免除しています。アメリカの有名大学の関連施設の新規進出も決まっており、アラブ諸国における高度医療技術と医療機器のニーズの高さをうかがい知ることができます。このような動きは中国やロシア、ASEAN諸国でも同様にみられ、各国とも自国の医療の高度化とともに新たな国内産業としての医療の育成に注力しています。

世界に誇る医療技術及び医療機器製造技術を有する日本も、日本医療の国際化による海外からの顧客(患者)の取り込みと関連技術・製品の輸出の促進により、世界に広がる医療マーケットの獲得が期待されます。

 

 

 

 

> 2012/4/10 Form C-Sの導入

 

シンガポール内国歳入庁(IRAS)は4月2日、小規模企業のコンプライアンスコスト低減のため法人所得税申告書の新たなフォーム:FormC-Sの導入を発表しました。

このFormC-Sの利用を許されるのは年間の売上高がS$1M以下(約65百万円)の小規模法人であり、シンガポールに登録されている法人全体の70%がその対象となる見込みです。従来の申告書であるFormCに比べ、その添付資料から財務諸表や所得計算書が省かれているため、申告書の作成作業に係る時間とコストが半減できると期待されています。

 

 

 

 

> 2012/4/3 通貨バスケット方式による管理型変動相場制

 

シンガポールの金融庁 (Monetary Authority of Singapore:MAS)は名目為替実効レート(Nominal Effective Exchange Rate: NEER)の管理による金融政策を実施しています。NEERの目標レートは、主要な貿易相手国の通貨をその貿易量により加重平均して算定する「通貨バスケット制度」が採用され、為替相場の変動が一定のレンジ(為替バンド)内に収束するよう運営されています。

この通貨バスケットは、経済規模が小さいシンガポールドルの乱高下をさけることを目的として実施されていますが、シンガポールドルを決済通貨として利用する場合、結果として為替リスクの低減効果を有しているといえます。

 

 

 

 

> 2012/3/27 PICの改正ポイント

 

Productivity and Innovation Credit(PIC)税制の改正が発表されました。

2012年度予算の成立を受けて、”キャッシュ・バック”を選択した際の換金率(Conversion rate)が増加されています。従来は、適格な支出額(最高S$100,000)について30%の換金率により補助金としてキャッシュバックされていましたが、この換金率がYA2013からYA2015の年度については60%に倍増されます。

この新しいレートによるキャッシュバックを適用する際の要件として、「少なくとも3人以上のシンガポール市民等の雇用とCPFの拠出」が追加されている点に留意が必要ですが、最大でS$180,000(100,000 x 60% x 3years)、日本円にして約1,170万円(1S$ = 65円換算)のべタックスベネフィットになることから、検討する価値は大きいと言えます。

 

 

 

 

> 2012/3/07 所得税法第13条12の免税所得

 

去る2月22日、IRAS(シンガポール内国歳入庁)は所得税法13条8(ITA13-8)で定める「特定国外源泉所得免税」規定を拡張する形で、従来は必要条件を満たさずに免税措置が受けられなかった配当所得や、一定の利子所得・不動産投資所得等についても、所定の状況下(シナリオ)に当たるものについては免税とする(ITA13-12)ことを発表しました。

例えば従来の制度(ITA13-8)では、国外からの配当所得がシンガポールで免税となるためには、所得源泉地国の所得税率が15%以上で、かつ源泉地で課税を受けていることが要件でした。これに対し新たに発表されたITA13-12では、源泉地での課税を受けないことについての理由が所定のシナリオに合致する場合は、ITA13-8の免税所得と同様に扱うものとされています。

 「国内源泉所得課税制度」を採用するシンガポールの優遇税制に新たなメリットが付け加えられたことになりますが、「全世界所得課税制度」を続ける日本の投資環境が相対的に悪化したと表現すべきかもしれません。

 

 

 

 

> 2012/02/20 メコン流域のニューパワー

 

CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)が注目を集めています。

中国やタイ、ベトナムといった近隣諸国の労働者賃金が上昇という外部的要因による、紡績や部品委託加工などの労働集約産業が生産効率の向上を求めてCLMへ移転するケースが多いようです。また内部的な要因としてCLM各国の政治的な変化もあげられます。カンボジアではフンセン大統領のリーダーシップの下政治が安定し、SEZ(特別経済区域)の整備が進み外資系企業の投資を積極的に呼び込んでいます。またミャンマーでは昨年の民主政権発足により世界的な経済制裁が緩和され、経済の自由化が進んでいます。

電力や道路・港湾など物流設備の不足、質の高い労働者を集めることが難しいなど解決すべき問題は少なくないようですが、生産拠点として魅力に加え新規マーケットとしても高い将来性が見込まれていることから、今後も世界中から資金が集まってくることは間違いないでしょう。

 

 

 

 

 

> 2012/2/15 所有者居住不動産の固定資産税

 

シンガポールの固定資産税(Property Tax)は、課税対象となる土地・建物の時価(Annual Values: AV)を課税標準として決定されます。事業用不動産の場合、課税標準額に対して一律10%の税率が適用されますが、所有者が自身の居住用として利用する不動産の場合には、その時価に対して0%、4%、6%の段階的な軽減税率が使用されます。

AVは少なくとも一年に一度は見直しがされるため、景気の動向を適宜考慮したうえで決定されています。

 

 

 

 

> 2012/2/10 インドネシアの成長と管理コストの低減

 

インドネシア経済が好調です。

欧州債務危機の影響を受けながらもASEAN諸国で唯一6%台のGDP成長率が見込まれ、2011年度の一人当たりGDPも4000ドルを突破することが予想されています。先を進んでいたタイの後姿が目前に迫る勢いです。また、先のタイの洪水被害によるバリューチェーンの分断を教訓に、製造拠点の部分的なインドネシア移管の動きも出てきているようです。

多国籍企業にとっては、分散化によりサプライチェーンに係るリスクを低減する一方、国境をまたぐ管理コストの増加に対応する必要が出てきます。シンガポールやタイの当局が積極的にプロモーションしているRHQ(Regional Head Quarter)を利用した税務コストの削減も有効な対応策のひとつとして重要性が増していると言えます。

 

 

 

 

> 2012/2/07 特定倉庫スキームとゼロ税率

 

2011年度予算において、シンガポール財務省は、高付加価値物品のための認定された倉庫設備についてのGST(消費税)の取り扱いに関する改正を発表しました。認定の対象となる倉庫は、海外に居住する者に対して一定のストレージサービスを提供する者とされ、また保管される物品は最終的にはシンガポール国外へと輸出されることが条件となります。この改正は、対象物品に関して頻繁に行われている国際間取引に着目し、当該物品のシンガポール所在の倉庫を経由した取引を促進することを目的として定められています。

(Specialised Warehouse Scheme and Zero-rating of Supplies)- Section 21(3)(g) of the GST Act

 

 

 

 

> 2012/01/30 日本・スイス租税条約の改正

 

日本とスイスの租税条約は昭和46年(1971年)の締結された現行条約に依っていましたが、投資所得課税減免への国際的な流れや情報交換規定の欠如による課税権行使上の不備などの問題点を考慮して、平成21年(2009年)6月に改定議定書による租税条約改正の基本合意がなされました。また昨年4月にわが国での国内手続きである国会承認が済んでいることから、今後両国間での交換公文手続きから30日経過後に効力が発生することになります。

居住者の判定基準、恒久的施設規定、利子・配当・使用料などの投資所得規定について重要な変更が加えられていますので注意が必要です。

 

 

 

 

> 2012/1/23 日本食品の国際競争力

 

原発事故後、日本食品輸出業界は前年比40%減(2011年5月期データ)にも及ぶ苦しい状況に直面しています。しかし、事故後の放射性物質検査証明手続きの徹底などにより徐々に輸出先国の信頼回復が図られているケースもみられ、これまで長年に渡って築いてきた信頼関係が真価を発揮しているといえます。今後も、生産・製造工程の国際認証取得、味・パッケージング・ネーミング、広報活動などに重点を置き、逆境の中での海外展開を図ることで益々日本食品の国際競争力が強化されていくものと思われます。(出典: Jetro)

 

 

 

 

> 2012/1/14 台湾総統選挙

 

台湾の総統選挙が行われ、国民党・馬英九が70万票差で民進党・蔡英文を破り2選を果たしました。昨年中国との間で両岸経済協力枠組み協定(ECFA)を結び、中台関係の緊密化を図った馬政権に今後4年間政権が委ねられることになります。

台湾企業とのアライアンスにより中国ビジネスを開拓したい日系企業にとっては、中国市場のさらなる開放に期待がもてる結果となりました。

 

 

 

 

> 2012/1/11 PICの創設 シンガポール所得税法

 

YA2012(2011年中に終了する会計年度)より、シンガポール所得税法にProductivity and Innovation Credit(PIC) が導入されます。この制度は、一定の生産性向上や技術革新のために有効となる支出について、400%の所得控除を5年間にわたり認めることにより、企業の生産性向上を後押しすることを目的としています。最大S$8,000,000(約480百万円)の税務ベネフィットが得られる制度であるため、是非ご検討ください。

 

 

 

 

> 2012/1/6 IASB、IFRS 10 の公開草案を発表

 

昨年末、国際会計基準審議会(IASB)は国際財務報告基準(IFRS)の第10号: 連結財務諸表 (Consolidated Financial Statements)に関する公開草案(Exposure Draft: ED)を公表しました。

この改正案では、従来その意味内容が不明瞭であるとして問題が指摘されていた”適用開始日”に関するより明確な説明等、追加的な情報が与えられています。

この内容は、ASC (Accounting Standard Council )http://www.asc.gov.sg/draft.htm#22Dec2011 のHPでも確認することができます。

 

 

 

 

> 2012/1/1 シンガポールのビジネス環境

 

世界経済フォーラム発表の「2011年版国際競争力報告書」においてシンガポールは、昨年より順位を1つ上げて総合2位、アジアでは首位となりました。同報告書は、142カ国・地域を「基礎的条件」、「効率性の向上」、「技術革新と洗練度」の3分野で100項目以上に細分化して数値化した結果をもとに、国際競争力を順位付けしています。