Incorporation: 法人設立

 シンガポールでの起業を検討する場合、どの形態でビジネスをするのかという選択が重要となります。

なぜなら、その選択によって納付する税額の大きさや必要となるペーパーワークの事務負担量が変わり、顧客やサプライヤーに与える信用度や銀行やリース会社からの融資条件にも影響する等、ビジネスの将来性に関わる最重要な検討事項となるからです。

 

 以下のガイダンスは、シンガポールでビジネス形態の概要を示すことにより、それぞれの特徴や遵守すべき規制、メリット、デメリット等を明らかにして、異なるニーズに合った進出の形が選択できるよう企画されていますので、是非ご活用ください。

 

 

シンガポールのビジネス形態(企業形態)

シンガポールのビジネス形態に関連している法律は、、以下のとおりです。

 

 

ビジネス形態の概要

シンガポールで外国人が投資することができるビジネス形態は、以下に掲げるものの内1から5までです。それ以外の形態で投資する場合には、シンガポール国籍保持者又はシンガポール永住権保持者の在籍が必要となりますのでご注意ください。

 

 

1.非公開有限責任株式会社 (Private Company limited by shares)

 1) プライベート・カンパニー(Private Company)

外資系企業のほとんどが採用しているビジネス形態で、株主が50名以下であることや株式の譲渡制限規定、社債の公募禁止規定などを定款に定める必要があります。

 

 2) エグゼンプト・プライベート・カンパニー(Exempt Private Comapny)

上記1)のプライベート・カンパニーのうち、株主が20人以下の個人により構成されるものをいいます。さらに年間収益が500万ドル以下であることなどを条件にシンガポール会計士による会計監査が免除されるなどの規制緩和措置があり、小規模企業向けのビジネス形態として人気があります。

 

 

2. 公開有限責任株式会社  (Public Company limited by shares)

50名超の株主からなり、株式や社債を提供して広く出資を募ることができるため、大規模企業向け。但し、金融庁(Monetary Authority of Singapore: MAS) へ事前の届出が必要となる。

 

 

3. 公開有限責任保証会社 (Public Company limited by guarantee)

国益や公益に資する慈善事業など、非営利な活動を運営するための形態。

 

 

4. 外国法人支店(Foreign Company)

外国で設立された法人のシンガポール支店を意味します。

契約等の権利義務が本店に帰属するため、出資金の範囲で責任の限定化がされる子会社の形態よりも高い信用力が得られる反面、リスク管理がより重要となります。

 

 

5. 駐在員事務所(Representative Office)

業務範囲は販売促進に関する活動と連絡業務のみです。市場調査や情報収集、物品の購入、広告宣伝活動はできますが、営業活動や契約の締結、発注は行うことができません。

 

 

6. 有限責任パートナーシップ (Limited Liability Partnership: LLP)

法人同様、出資者であるパートナーと別個の法的権利義務と主体性をもち、自己の名で訴訟を提起することができ、また起訴を受けます。パートナーの変更はパートナーシップの存続に影響を与えません。

 

 

7. パートナーシップ (Partnership)

一人以上のパートナーが共同で事業を行う形態。無限責任で法人格はありません

 

 

8. 有限パートナーシップ (Limited Partnership: LP)

最低2名からなるパートナーシップであり、無限責任を負うパートナーと有限責任を負うパートナーがそれぞれ最低一人は存在することが必要となります。

有限責任のパートナーは、経営に参画していないなどの条件を満たす場合にはパートナーシップの活動から生じた債務に対し責任を負うことはありません。また、LPの名義で法的権利義務の主体となることはできませんが、個人及び法人のいずれも、無限責任又は有限責任パートナーとなることが可能です。

 

 

9. 個人事業体 (Sole-Proprietorship: SP)

個人事業のビジネス形態。

外国人がSPを登録する際に引き続きシンガポール国外に居住する場合には、シンガポール居住者であるローカルマネージャーの選任が義務付けられる。

 

 

 

 

 

会社秘書役 (Company Secretary)

会社法171条において、法人設立後6ヶ月以内に任命することが要求されています。

主な業務は、ACRAへの登記事項の更新や株主総会及び取締役会招集の通知、議事録の管理、保管などがあります。会社秘書役は、シンガポール居住者でなければなりません。

 

 

 

 

 

株主総会  

1. 定時株主総会

シンガポールの会社法上、一年に最低一度は定時株主総会Annual General MeetingAGMを開催すべきことが義務付けられています(Companies Act, Section175)。このAGMは、決算日から6月以内に行うことが要求され、又は前回の株主総会の日から15ヶ月を超えることはできないと規定されています。新設された法人については、設立の日から18ヶ月以内に行うこととされます。但し、ACRAへの申請により、それぞれ最長2ヶ月の開催期限の延長が認められます。

 

2. 臨時株主総会

上記の定時株主総会以外に、必要に応じて開催されるものを臨時株主総会 (Extraordinary Genaral Meeting: EGM)といいます。

 

 

 

 

 

株主決議の種類

1. 普通決議 (Ordinary Resolution)

50%超の過半数の議決権により決定されるもの(Companies Act, Section4-2-1)。

 

2. 特別決議 (Special Resolution)

75%以上の技研つけんにより決定されるもの (Comapnies Act, Section4-2-2)。