Relocation: 就労許可証の取得 

シンガポールは世界経済を牽引する東南アジアのビジネス・ハブであり、最もビジネスのし易い国のひとつとして高い評価をされています。世界中からこの地に集まる外国人就労者は、就労許可を取得・維持する必要があります。

 

 

1.Pass (労働許可証)の種類

シンガポールで外国人が就労するために必要な就労許可証(Pass)又は労働許可証(Visa)を発効するのは、担当官庁であるMinistry of Manpower(以下”MOM”)です。

シンガポールの就労パス制度は、あらゆる所得水準、資格、職種全般にわたり統一されていますが、これは、専門職、熟練労働者、半熟練労働者、一般労働者など、すべての職業レベルで外国人の人材を採用できるようにするためです。

職種、基本給によって以下の区分に分けられており、それぞれ異なるメリットが付与されています 。

 

・Employment Pass (EP) :就労許可証

 

・Personalized Employment Pass(PEP) :個人就労許可証

 

・EntrePass

 

・Employmenmt Pass Eligibility Certificate

 

・S Pass

 

・Work Permit

 

・Dependant’s Pass

 

 

 

 

2. Employment Pass (EP):外国人の専門職、マネージャー、役員、特殊技能職のためのパス

EPの種類        

 

最低月額固定給与                      対象、その他の条件
 P1 EP       S$8,000以上  

法人の管理職、高度な専門的資格を有するを労働者、企業家、世界的芸術家向け

P2 EP       S$4,500以上、 8,000未満   同条
Q1 EP     S$3,000以上  

熟練度の高い技能労働者、

技術者向け一定の学歴要件あり

         
注)月額固定給与には、残業代、ボーナスなどの諸手当、年金、退職金等を含まない。また、金額は2012年1月以降に申請される場合のもの。
 

 

 

3. Personalized Employment Pass (PEP): 個人就労許可証

優秀な海外の外国人専門職、就労許可書所持者、シンガポールの高等教育機関を卒業した外国人のためのビザです。海外の外国人専門職は、海外で最後に受取った月額固定給与が最低7,000シンガポールドル、もしくは過去にP1パスを受けてシンガポール国内で働いた経験が必要です。現在P2およびQ1パスを持っている人は、前年の固定給与が最低3万シンガポールドルで、P2パスで最低2年間もしくはQ1パスで最低5年間働いた経験が必要です。シンガポールの高等教育機関を卒業した外国人は、前年の固定給与が3万シンガポールドル以上および就労許可書で2年間働いた経験が必要です。現在のP1パスおよび新しいP1パス の所持者は、申請するとPEPの暫定承認が与えられます。PEPの有効期間は5年間です(更新不可)。

 

EPとの違いは、EPが法人に紐付けられるのに対してPEPは個人に対して紐付けられるため、転職等で就職先が変更した場合7日以内にMOMに届出するだけでよく、手続きの柔軟性が高い点があげられます。

 

 

 

4. S Pass: 中間レベル技能の労働者(技術者など)のためのビザ
Sパスの申請者は、給与、資格、技能、実務経験および職種を考慮したポイント制で審査されます。また、月額固定給与1,800ドル以上を得ることが必要です。企業については、Sパス所持者の雇用割当は25%と定められており、Sパス所持者の一人一人について50ドルの課徴金が課されます。Sパス所持者は、月額固定給与が2,500ドル超であれば扶養家族パスを申請することができます。

 

 

 

5. EntrePass:  企業家パス シンガポールで起業を考えている外国人企業家向けのビザ
このビザの申請は、労働省(MOM)と規格生産性革新庁(SPRINGシンガポール)により合同で決定されます。一般的に、ベンチャービジネス案は合法的な事業にかかわるものでなければならず、コーヒーショップ、屋台市場、フードコート、足指マッサージ、マッサージパーラー、カラオケ店、両替・送金、風水占い、個人教授その他同様の事業には適用されません。

 

 

 

6. Training Employment Pass(TEP): 研修許可証 シンガポールで専門職、マネージャー、役員もしくは特殊技術職のための実務研修を受ける外国人のためのビザ。
このビザを受けるためには、申請者は月額固定給与2,500ドル越または適切な高等教育か専門資格を有している必要があります。学部生については、職場実習が認定教育機関のカリキュラムの必須要素です。企業は、従業員を研修目的で自社の海外オフィスもしくは子会社からシンガポールへ移すこともできます。申請者において、TEP 不適格と判断された場合には、研修労働許可証(TWP) が下りる場合があります。TWP は、割当・課徴金の対象となります.

 

 

 

7. Work Permits (R Passes): 未熟練の外国人労働者のためのビザ

このレベルの外国人労働者についても雇用割当比率が設定されており、制限比率は産業別に異なっています。

また、S passの場合と同様に課徴金が課せられますが、これは外国人労働力の流入がシンガポール政府が目指す経済成長目的に沿ったものとなるための調整弁として機能しています

 

 

 

8. Dependant's Pass/Letter of Consent(DP/LOC): 扶養家族用パス/レター・オブ・コンセント就労許可書保有者の扶養家族用のビザ
扶養家族とは、就労許可書を持つ者の配偶者、21才未満の未婚もしくは合法的な養子を指します。月額固定給与2,500ドル超のSパス保有者も、扶養家族パスを申請する資格があります。

就労許可書を持つ者の扶養家族は、労働省からレター・オブ・コンセント(LOC)を取得すれば、就職することができます。Sパスを持つ者の扶養家族は、LOC申請はできませんが、それぞれの能力に応じ、P/Q/S/R 就労パスの申請は可能です。

 

 

 

9. Long Term Visit Pass (LTVP): 長期滞在パス  P1およびP2パス所持者の両親、義理の両親、継子、内縁の配偶者、心身障害児、21才を越える未婚の娘のためのビザ 
これらのLTVP所持者は、P/Q/S/R 就労パスを申請すれば就職することができ、それらの就労パスは、申請者自身の能力が評価されます。

 

 

 

10. Short Term Visit Pass (STVP): 短期就労パス

  1) Miscellaneous Work Pass (MWP): 雑務就労パス 指定された活動に従事するための 60日以下んぼ滞在に対して発効されるパス

 

  2) Work Permit for Performing Artistes: 外国人のアーティストが指定された場所で就労するための6ヶ月以下の滞在に対するパス

 

 

 

11. Work Holiday Programme (WHP): ワークホリデープログラム

17歳から30歳までの外国人大学生及び卒業生が、このビザにより最大60日までシンガポールで就労することが可能です。

但し、申請が可能な大学生等の出身国は、以下の国に限られています。

  • Australia
  • France
  • Germany
  • Hong Kong
  • Japan
  • New Zealand
  • United Kingdom
  • United States

 

 

 

12. 就労パスの期限と更新

就労パスの有効期限は、初めて申請する場合は1年間から2年間であり、以降更新の際には最高3年間となります。

 

就労パスの申請時に必要な書類には、以下のものがあります。

  • Form 8 (申請書)
  • 就労する会社名と住所
  • 就労する会社登記番号
  • 業務内容と給与詳細
  • 現地連絡先詳細
  • 扶養家族や長期滞在者に関する詳細
  • パスポートコピー(顔写真のある部分)
  • パスポートサイズの写真一枚
  • 最終学歴の英文卒業証明書のコピー
  • 各資格証明書のコピー(任意)
  • 会社案内や業務内容のわかるもの(任意)
  • 推薦状(任意)

 

 

 

13. 就労パス申請後の手続き

就労パスの申請が受理された後、健康診断を受ける必要があります。健康診断で問題がなければ、Employment Pass Service Centre (EPSC)に行き、顔写真と指紋を提出します(要予約)。数日後、就労パスカードを受領して完了となります。

カードは携帯用の身分証明書として利用できます。