グループ法人税制: Group Relief (GR)

 

 

 

グループ法人税制の概要

 

グループ法人税制(Group Relief: GR)はグループ企業を1つの企業とみなして課税するシステムです。この場合、現事業年度に生じた未使用のキャピタルアローワンスや事業損失、寄附金を同じグループ内の課税所得金額から控除することができます。

未使用のキャピタルアローワンスや事業損失及び寄附金のことを”Loss Items (ロスアイテム)”と呼びます。

 

また、ロスアイテムの移転元法人のことを”transferor (トランスファラー)と呼び、受入法人は”claimant(クライマント)”と呼ばれます。

 

 

 

 

1. グループ法人の定義

法人が、特定の法人の普通株式の75%以上を直接又は間接に保有する場合、当該所有・非所有関係。子会社関係や孫会社の関係、兄弟会社関係を含む。

但し、シンガポール法人でない会社(非シンガポール法人)を通じて所有される場合には、当該非シンガポール法人の持分は、グループ法人の判定上考慮されない。

 

 

 

2. 75%以上の普通株式保有の要件

株式保有は、賦課年度である課税期間を通じて継続して75%以上が保有されるていることが要求される。

また、普通株式であること要件として、次の2つのテストをクリアする必要がある。

  • First-level test

          普通株式は配当決議権のみならず株主としての諸権利を有するものをいい、固定的な優先配当権のみを有する株式を除く

  • Second-level test

          普通株式は、法人の利益及び資産の実質的な配当請求権及び換価請求権を有するものであ ること

 

 

 

3.  決算期末の同一性要件

グループ法人税制上、"transferor"と”claimant"との決算期末日は同じでなければならないとされています。 

ただし同一グループ内の法人であっても、"transferor"又は”claimant"の何れかに該当しない法人については、決算日の同一性は要求されません。

 

 

 

4. Loss Items (ロスアイテム)の優先順位

ロスアイテムは次の順番で移転するものとされます。

  • 現事業年度の未使用キャピタルアローワンス
  • 現事業年度の事業損失
  • 現事業年に生じた寄附金

 

 

 

5. ロスアイテムから除外されるもの

  • 在外支店に帰属する事業損失
  • 投資控除(Investment allowances *Ref to EEIA Sec67)
  • 免税所得上の損失 (e.g. パイオニアトレードから生じるもの)
  • 未使用損失、CAが制限される特定の活動・取引(e.g. Sec10D ITA)
  • EEIA上特別のインセンティブが与えられている法人のロスアイテ
  • Sec10E上のロスアイテム
  • 未使用のSec14Qの控除

 

 

 

6. 移転可能限度額

移転元法人(transferor)は、移転先法人(claimant)の課税所得の範囲内で、ロスアイテムの金額を移転させることができる(上記2の75%普通株式要件を満たす必要有り)。